北岳登山

身体を鍛える前に夏山シーズンが到来した。
まったく運動をしない毎日だったがいきなり北岳に行った。
北岳は20年ぶりだから、あわよくばまだ登っていない間ノ岳まで行きたいと思って
7月19日朝2時半に自宅を出発した。
芦安の駐車場に6時少し前に到着した。
いい天気だ。
芦安からは6時20分発の乗合タクシーに乗り換えて広河原に7時に着いた。乗合タクシーは人数が溜まれば発車してくれる。

広河原登山口からは雲ひとつない快晴の空の下に北岳の頂が見えた。
体調は良好、涼しい風も吹いて樹林の中をコースタイムよりかなり早く白根御池小屋に到着した。

(白根御池、テントがちらほらだった)
乗合タクシーに同乗していた若者にいいペースじゃないですかと褒められた(のはここまで)。

ここから草すべりを3時間かけて登ると肩の小屋に続く尾根に辿りつくはずだった。
このままのペースで行ければ北岳山荘までは楽勝だ。

白樺林を抜け、草すべり上部の森林限界を越えたあたりで
突然、両脚の太ももの筋肉がつってしまった。こんなことは今まで経験したことがない。

斜面一面のシナノキンバイの花畑で小休止するが良くならない。
3歩あるいて一休み、10歩歩いて一休みが続く。

(小太郎尾根)
なんとか尾根に到着するが、まったく脚が動かなくなって、小休止に大休止の繰り返し。
颯爽と行き過ぎる熟女の山ガール(小屋で一緒になった)に梅干しあげましょうかと言われたが、丁寧に辞退して、なんとか肩の小屋まで辿りついたのが午後2時10分だった。

ふつうの脚ならあと2時間もかからずにたどり着くのに、この状態ではとても小屋の向こうのさらに先の北岳頂上を越えて北岳山荘までは到達できそうにない。
肩の小屋の入口では美味そうな生ビール(一杯900円)を売っていたが、飲むきにならず、ここまでが限界と諦めて今夜はここに泊まることした(一泊7500円)。
念願の間ノ岳は断念だろうなあ。
金曜日なので小屋は空いていた。
小屋の中で早々と横になって休むとしばらくして脚が回復したので缶ビールをひとつだけ買って飲んだ。雪渓で冷やしたビールの美味いことといったらなかった。
夕食も朝食も丁寧な仕事で美味しかった。

(夕食はご飯もみそ汁もおかわり自由、おかずも美味しかった)
7月20日の朝、薄曇りで雲海の中を朝日が昇る。
雲にさえぎられてご来光は見えなかったが、鳳凰三山の向こう、その奥の金峰山の上の朝焼けが綺麗だった。

雲海から富士山が頭を出していた。

(富士山はやっぱりいいなあ、見えるだけで御利益がありそうだ)

(朝食は質素だが、お米は上手に炊いてあった)
5時前に朝食をいただき、空身で北岳に登った。
脚の具合は大丈夫だった。

登山道の岩肌には小さな高山植物が色とりどり、沢山花を咲かせていた。
歩き始めると快晴になった。

北岳山頂は360度のパノラマだった。

近場の鳳凰三山仙丈岳、甲斐駒はもちろん中央アルプスも恵那山や御嶽山、遠く白山も見えた。

(特徴的な鳳凰地蔵岳オベリスクの尖った岩)
北アルプス八ヶ岳の峰々も一望だった。

仙丈岳の後ろに北アルプスの峰々が連なる)

(甲斐駒も威風堂々)
手を延ばせば届きそうな、目と鼻の先の間ノ岳の頂だが今回は断念した。

大事をとって草すべりを途中までくだり、大樺沢雪渓に続く二股への下山道(右俣コース)を下る。

(八本歯のコルへの分岐、大樺沢二股、仮設トイレもある絶好の休み場)
ほどほどの急な下りだったが、途中から膝が抜けた。太ももの筋肉は大丈夫だが、膝に力が入らずカクッとなって何度も転びそうになる。
やっぱり無理して間ノ岳に行かなくてよかった。
下山はコースタイムの登り時間以上の時間がかかった。
2度目の北岳登山の今回も間ノ岳の頂には立てなかった。
次は身体を鍛えて挑戦しよう。
今回の教訓;やっぱり大事の前には訓練が大切だ。
(でも何もしてなくても北岳には登れたぞ、まだまだ大丈夫!)