母の3回忌

今日は母の3回忌、一年ぶりに箱根の麓の寺に兄弟がそろった。
富士山がくっきりと見え、暖かい日が射す気持のいい墓参り日和に恵まれた。
寺の障子は陽を浴びて明るく輝いていたが、本堂は凍えるほど寒い。
法要の最中には足元からぞくぞくと寒気が登ってきた。
読経の後、境内の坂道を上り、賑やかに墓前の花を手向け白檀の匂いのする線香を供えた。
すこし高みにある墓からはゆらゆらと白い煙が登ってゆく。
兄弟にはそれぞれの悩みはあるものの元気でなによりだ。
兄達もすこぶる老人になったが、長く教育現場にいた弟もすでに60歳で、この3月で定年だ。

(若いのは弟の嫁だけだ、みんな年とったなあ)
話はついつい健康状態や息子や孫の話題に向かうが、いろいろと尽きない。
先日新幹線で大阪に出張したときに沿線の火事で列車が遅れ
長く座っていたことが引き金だろうか、腰痛が再発した。
そのあとの会議で長く座っていたことも悪かったのだろう。
墓への石段は腰に手をあててやっと登った。
こんど家族が一堂に会するのはきっと7回忌の4年後だろう。
みんな元気でいればいいけれど、はてさてこればかりは誰にもわからない。
青空にたなびく線香の煙のなかに元気な頃の母の顔が見えた気がした。