奄美大島に行きたい。
田中一村に会いたい。
数奇な人生を送った彼が心を吐露した絵を、彼が生きた世界で見てみたい。
夜、大きな画集を開くと息吹を感じる。
彼が表現したかった心が画面を飛び出して、目の前に迫ってくる。
鳥は枝にとまり、かなたを見つめるか、天に向かって啼いている。
永遠を見つめ、不遇を訴えるようだ。
あるいは超越した諦観なのかもしれない。
静かな亜熱帯の植物の影に不屈で強烈な意思が静かにこちらを見据えている。
声なき画面が生きることについて真摯に語る、彼の絵をこの目で直に見てみたい。