丑の日に鰻松でうなぎを食べる

昨日、7月27日は土用の丑の日だった。

もういい年頃になったので、その節ごとの行事や慣わしを大切にしたいと思う。

春には春の、夏には夏の、それぞれの季節の風物詩や食べ物を五感でしっかりと実感したい。

昔から「いつまでも有ると思うな親と金」と言われているけれど、親や金どころか、日々の移ろいに気を配っていないといつのまにかあたりの景色が変わってしまって自分が生きているのかどうかにすら気がつかないことになってしまいそうだ。

まだ暑くなりだしたばかりの今年の土用の丑の日ではあるが、昨日、金沢八景に足を伸ばし老舗、鰻松(うなまつ)にうな重を食べに出かけた。

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(横浜金沢観光協会HPより引用。写真を撮り忘れた)

この店は百年以上続く横浜でも由緒ある店で、潮風に吹かれる海沿いにこじんまりと暖簾を出す。江戸時代(安政年間))に金沢八景の平潟湾で鰻漁師をしていた先祖が湾の埋立で漁師をやめて鰻屋を始めたことが店の由来だ。古くは明治の宰相、伊藤博文もこの店の常連だったそうだ。売りは客の注文を聞いてから焼く国産鰻の蒲焼きだ。

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二階も有る店舗の一階部分が振りの客用の空間で、七、八組の客でいっぱいのこじんまりとした作りの店内だ。店先で席を待つことおよそ三十分。待っている間に注文を取り、席に着くとすぐ品出しだった。

甘味を抑えた香ばしい味付けで、なんといっても皮がパリッとしていて身の柔らかさとの対比が素晴らしい。好みとして大事にしているのはこの皮の絶妙な焼き加減だ。タレも甘すぎないのが上品でよい。この店のタレは一年寝かせたものを使用しているという。絶品である。

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(鰻重(上)、肝吸い、お新香付き、4200円)

今ではすっかり高級料理になってしまい、おいそれとは庶民の口には届かなくなった鰻であるが、せめて土用の丑の日ぐらいは本物を味わいたいと思う。今年もなんとかこの至福の時に巡り会えた。

夏の風物詩といえば、行事では海水浴に花火、料理では素麺と鰻、おやつにはよく冷えた西瓜と歯にしみるような苺シロップのかき氷。酒の肴ではキュウリの古漬けだろうか。

いよいよ夏本番だ。今年の夏も暑そうだ。