第20回 JHHHネットワーク会議に参加して

今回の九州行きは第20回 JHHHネットワーク会議に参加することが目的でした。JHHHは、Japan Hospital Hospitality House(日本名:ジャパン・ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス)の略です。この会は病気を持つこどもとその家族を支援する滞在施設を運営するボランティア団体や関係者で組織される任意団体です。

JHHHネットワーク会議は全国の団体が年一回集会するもので、今年は第20回を迎え、福岡ファミリーハウスが世話役となり、九州大学病院総合研究棟を会場にして開催されました。集会には全国の20団体、総勢100名を超える参加者あり、10月26日と27日、二日間にわたり講演や施設見学、参加者間の討論など、盛りだくさんの内容でした。

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(会場の九州大学病院

この会議へは、認定特定非営利活動法人スマイルオブキッズの関係者として今回が初めての出席でした。理由は、今年3月に常勤職を退職したのを機会に、これまで多くの支援をいただいたボランティア団体であるスマイルオブキッズへ恩返しをしたくて今年の6月から運営のお手伝いをさせてもらうことになったからです。NPOの理事長から国内の他施設の状況を知るにはいい機会なので出席してみてはどうかと提案いただいたことがその直接の理由です。

認定NPO法人スマイルオブキッズは神奈川県横浜市にあるボランティア団体です。主として神奈川県立こども医療センターを受診中のこどもとその家族のための宿泊支援施設「りらのいえ」の運営、患者の兄弟・姉妹保育事業、広報のためのチャリティコンサート、障がい児者のための音楽会やイベント、患者のきょうだいや家族支援推進のための研修会や公開講座など、幅広い活動を行っているボランティア団体です。専従の常勤職員はひとりのみで、あとはすべてボランティアの熱意で運営されています。

JHHHネットワーク会議に参加した方々はNPO法人地方自治体福祉事業団、企業が運営する施設など、運営母体は様々です。今回の会議には北海道札幌、福島、埼玉、東京、神奈川、新潟、長野、愛媛、福岡、熊本、沖縄などの20団体の参加でした。

プログラムでは、九州大学医学部小児外科田口智章教授による「小児がん拠点病院としての取り組みー小児外科医として」、九州大学大学院濵田裕子准教授(NPO法人福岡子どもホスピス代表理事)による「地域で支える重い病気や障がいのあるこどものいのちと育ちーNPO法人福岡こどもホスピスプロジェクトの活動」の講演がありました。滞在施設活動報告では福岡ファミリーハウス・シバタハウスの設立と開設までの経緯「シバタハウスができるまでの物語、そして3年の歩み」がありました。

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(田口教授の講演)

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(濵田准教授の講演)

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(施設紹介ーシバタハウスのリノベーションを担当した皆さん)

施設見学では一日目は九州大学病院小児病棟と病院から歩いてすぐのシバタハウス(3室)、二日目にはマイクロバスに分乗して福岡市立こども病院の向いに開設されているドナルド・マクドナルド・ハウスふくおか(21室)を視察させていただきました。初日の夜は参加者ほぼ全員が集う懇親会があり自己紹介や挨拶・近況報告などが行われ、賑やかで盛大な情報交換会となりました。

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(シバタハウスの全景)

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(ドナルド・マクドナルド・ハウスのハウス・マネージャーによる施設説明会)

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(盛大な懇親会)
会合全体を通じて感じたことは多くのボランティアの方々が小児がんや心臓病をはじめ難病や障がいがあるこどもとその家族をできる限り、できる範囲で、たとえ少しでも支えたい、というゆるぎない思いとあふれる熱意でした。ボランティアのなかにはご自分のこどもが病気になったり、病気で亡くされた家族や親、自分ががんサバイバーである方なども大勢参加されていました。小さな善意が積もり積もって、大きく実を結ぶように皆さんが力を尽くしていることがとても印象的でした。

こどもの数が減り、核家族化が進み、社会のしくみや枠組みは時々刻々と変化し、そのなかで医学は進歩を続け、治る病気が増えると同時にさまざまな慢性的な課題を克服しなければならない生存者が少しずつ増えている現在。患者や家族は複雑な医療情報を理解し自らの意思で病気と向き合うことが求められ、張り詰めた緊張に遭遇することが避けられなくなった今。そんな患者や家族を支える力がますます求められており、この会に来ることで、それを支えようとする多くの善意があることをあらためて身近に感じたことは貴重な体験でした。何をするべきかを考えることと同時にひとりでも多くの方に支援の輪に加わってくれるように情報発信の重要性を再確認する機会にもなりました。

会合への参加を勧めていただいたNPO法人スマイルオブキッズの理事長や理事会メンバーならびに事務局のみなさまにこころから感謝したい。大変すばらしい体験でした。