小寒を過ぎて

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コロナウイルス感染患者の爆発的な増加とともに新年が明けて、すでに十日余りが過ぎた。

牛の背に乗って善光寺参りもままならないうちに、首都圏に再び緊急事態宣言が発布された。

関東の正月はこの地方ならではの好天が続き、小寒を過ぎていよいよ本格的な冬の寒さの到来である。

晴れ晴れとした青空の広がる朝で迎えた成人の日の今朝ではあったが、昼前には雲が広がり日差しが落ちて寒い日になった。三密を避けて開催されている恒例の成人式に集う若人たちのマスクの下の頬もこの寒さで赤らんでいるに違いない。

北海道、東北地方はもとより裏日本から九州地方までの広い範囲で例年にない大雪に見舞われ、雪下ろしや積雪の屋根からの落下で死傷する痛ましい事故が多発している。

気持ちが塞ぎがちの毎日ではあるけれど、それでも散歩がてらに和菓子屋の前を通ると、日除けの長暖簾の向こうのショウウインドウにはすでに春の便りが届いているのが見えた。

春を告げる花びら餅が陽が当たって輝いている。はるか王朝時代の昔から、春の魁として日本人の季節感を象徴する小ぶりの和菓子だ。

甘い白餡を挟み、ほのかな赤みを放つ半透明の求肥の両端から細く切られた灰色の牛蒡がのぞいている。牛蒡は塩鮎を表すという。日本人の美意識や遊びの精神を具現化するような不思議な組み合わせに今更ながらに唸ってしまう。

心から春の到来を待ちわびる巣篭もりの日々の中で、これからの一年が平穏で安らかな年であることを願わずにはいられない。f:id:darumammz:20210111201724j:image

 一昨日(1月9日)、お手伝いしているNPO法人スマイルオブキッズ主催のインターネットで結ぶ「きょうだい児支援」をテーマにしたシンポジウムが開催された。病気のあるこどもや障害児のきょうだいを支援するための取り組みの歴史や現状についての専門家の講演と参加者からの質問に答える形式の研修会だった。画面のむこうには全国から百人を越す参加者があった。

スタッフは寒い中、朝から念入りな準備をし、本番では音声が不安定な場面もあったが、熱い思いを共有する中身の濃い研修会だった。

遠隔地に在住だったり諸事情で講演会場に来ることが出来ない参加者をインターネットで結ぶこのような集会形式は、コロナ禍がもたらした新しい人と人との双方向の繋がりのかたちとして今後さらに発展してゆくことになるだろう。

時代とともに世界は流動的に変容している。新しい社会がもう到来していることを身をもって実感する機会だった。いままでにはなかった新たな出会いや気づきの姿を過酷なコロナ禍が生み出したポジティブな成果と捉えたいと思う。