湯ノ花温泉に泊まる

尾瀬沼の入り口、尾瀨御池には自宅から車でおよそ5時間かかった。
尾瀬沼周回を終えて登山口の沼山峠に戻り、15時50分発のバスに乗って20分で尾瀨御池に戻った。まだ明るい時間帯なので帰ろうと思えば日帰りも可能だったけれど、せっかく遠くまできたから温泉に泊まった行くことにした。

近くには檜枝岐(ひのえまた)温泉や木賊(とくさ)温泉など、たくさんの温泉地がある。そのなかで以前に一度、田代山帝釈山に登りに来たときに飛び込みで泊まったことがある湯ノ花温泉に行くことした。そうと知らなければ気がつかずに通り過ぎてしまいそうな、山間に静かに佇む小さな温泉地は尾瀨御池から車で1時間ほど下ったところにある。

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湯ノ花温泉概略図(赤丸が共同浴場、緑が泊まった民宿)

以前に予約なしで泊めて貰った民宿「いせや」には都合で泊まれなかったが、今回は川端にある立派な風情の民宿「山楽」を予約することができた(1泊2食付き8000円也、0241-78-2201)。宿は、その昔は茅葺き屋根だった曲屋を改修した囲炉裏のある古民家で、中年の若夫婦二人だけで営む民宿ようだ。手伝っていた高齢の白髪の男性は、藍綬褒章を受章した先代らしい。藍色の勲章が飾ってあった。民生委員などを務めた土地の世話役のような存在だったようだ。我々以外には、二組の泊まり客がいた。いずれも茸採りの常連のようで、いまはすでに禁漁期に入っているが一組のご夫婦は岩魚釣りにいつもこの民宿を利用しているそうだ。

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りっぱな造りの民宿「山楽」

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宿の食事は米やそばや野菜もすべて自家製だそうだ

湯ノ花温泉は四カ所の素朴な共同風呂が売りものの温泉地だ。それぞれの浴場を近隣の住民が持ち回りで管理している。何カ所利用しても一日分の入湯料は二百円だった。到着がすでに17時近く、日が暮れてあたりは暗くなってしまったので初日は一カ所だけ入って汗を流すことにして、残りは翌日にも入浴するつもりで二日分のチケットを買った(三百円)。

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湯端の湯(男女別。川を挟んで民宿のすぐ目の前)

民宿「山楽」の正面には目の前の湯ノ岐川を挟んで歩いて数分のところに「湯端の湯」があった。男女別の浴室は綺麗に掃除が行き届いていて気持ちがよい。お湯はかなり熱めだった。女湯は前の利用者が水で薄めすぎたらしくぬるかったようだが、たまたま地元の女性が来て熱湯の栓を開けてくれたので熱くなったそうだ。この浴場がこの地で最も古い共同浴場だそうだ。

夕食は岩魚の塩焼きと刺身をメインに、一人ずつにキノコの小鍋や松茸の茶碗蒸しなどが付いて、高齢の我らにはちょうどよい食事の分量だった。入浴ですっかりのぼせてしまい乾いた喉を冷えたビールで潤し、質素だけれど心のこもった料理を肴に日本酒(地酒「花泉」)が進んだ。

歩き疲れたのと日本酒ですっかり酔ってしまい、食事のあとはやばやと寝てしまった。

翌日の朝は、雨になる予報だったが曇り。各共同浴場には朝6時半から入れるそうだが、毎朝の掃除が終わっていないこともあるというので、タオルを持って散歩がてら四カ所を見て回った。

いったんすべてのお湯を落として毎日ていねいに掃除をするようで、6時半の時点で湯舟にお湯が貯まっていたのは湯ノ花温泉でもっとも大きな共同浴場の「弘法の湯」だけだった。一番湯が気持ち良かった。石湯、天神の湯はお湯が溜まるのにあと2時間くらい必要のようで、またの機会に入ることにして今回は入浴を見送った。このふたつの素朴な浴場は脱衣場が男女兼用で混浴のようだった。あるいは利用時間が決められているのかもしれないがわからなかった。

帰宅は只見から魚沼の道の駅を覗きながら、帰ってきた。日没前に帰宅するつもりだったが、圏央道から東名高速に乗る少し前に事故があり東名は90分以上の大渋滞になってしまったので綾瀬で途中下車して一般道を走ってきた。KM氏を送り、自宅についたのは日が暮れてからだった。

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石湯(浴室に大きな外の岩が飛び出している)