ジオパークについて

隠岐空港に着陸すると、「隠岐世界ジオパーク空港」の看板が真っ先に目に入った。ジオパークとはなんだろう。世界自然資産とは違うのだろうか。さっそくスマートフォンで調べてみた。

オパーク(Geopark)は、地球や大地を意味するGeoと公園を意味するParkを組み合わせてできた造語であることがわかった。地球の成り立ちを示す地質遺産や景観などを保護し、自然と人間との共生と持続可能な開発の実現を目指した事業の名前のようだ。

隠岐空港

隠岐西ノ島天上界観音岩

隠岐諸島西ノ島田賀浜通天橋

隠岐の海_ひとの顔に見える岩

隠岐の奇岩_あちこちに顔がある

隠岐の海

さらに、文部科学省のHPを見ると、ユネスコ世界ジオパーク」は、国際的に価値のある地質遺産を保護し、そうした地質遺産がもたらした自然環境や地域の文化への理解を深め、科学研究や教育、地域振興等に活用することにより、自然と人間との共生及び持続可能な開発を実現することを目的とした事業です。ユネスコの国際地質科学ジオパーク計画(IGGP)の一事業として実施されています。」と、まわりくどい説明が記載されていた。世界では44カ国・169の地域がユネスコ世界ジオパークに認定されている。日本では、隠岐諸島以外にも、北海道の洞爺湖有珠山アポイ岳新潟県糸魚川静岡県伊豆半島鳥取、兵庫、京都に跨がる山陰海岸高知県の室戸、長崎県島原半島熊本県阿蘇などの全部で九地域がユネスコ世界ジオパークである。(*ユネスコ国際連合教育科学文化機関、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.)

そう言えばアポイ岳に登ったときもジオパークの看板があったことを思い出す。今年の春、新型コロナウイルス感染症が下火になり始めた3月末に青春18切符山陰本線鈍行列車を乗り継いで旅した山陰の旅ではジオパークの文字や看板に気がつかなかった。

アポイ岳山頂(2020.8.17登頂)

一方、世界自然遺産は、「世界遺産とは1972年のユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」により『顕著な普遍的価値』を有すると認められた文化や自然のことで、人類共通の財産として保護し、後世に伝えていくため世界遺産リストに登録されたもの」で、自然遺産に登録されるためには「自然美」「地形・地質」「生態系」「生物多様性」いずれかの基準を満たす必要がある。観賞上、学術上又は保存上顕著な普遍的価値を有する特徴ある自然地域、絶滅の恐れのある動植物の生息地などが登録される、と説明されている。日本では、白神山地屋久島、知床、小笠原の 4 地域が世界自然遺産に登録されており、すでにこの4カ所すべてを自分の足で訪ね歩いている。

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隠岐の固有種オキサンショウウオとオキノウサギ

世界ジオパークと世界自然資産はいずれもユネスコが認定した自然の資産で、前者は持続可能性に力点を置いた開発に着目し、後者は遺産として次世代に受け継ぐための保存を主眼とした地域を指すようだ。なかなか違いを理解するのは難しいが、ジオパークは観光資源として活用し、かつ保護する立場が強調さてれいる事業で、後ろ盾は文部科学省ではなく、経済産業省の産業総合研究所地質部門(旧地質調査所)のようだ。両者は似たような主旨だが、開発と保護のせめぎ合いのなかで持続可能性を目指す点では共通する事業なのだろう。

屋久宮之浦岳山頂直下

宮之浦岳山頂(2021.6.23登頂)

世界はもちろんのこと、まだまだ日本各地にも知らない地域や自然遺産・資産がたくさんある。また以前のように自由に気ままにあちこち旅が出来る日が来たら、映像や写真ではなく、ひとつでも多くの地に、自らの足を運び、現地の大気を吸い込み、水で喉を潤し、風の音を聞き、自分の眼で、宇宙の一部が形となった不思議な景色を眺めたいと思う。とは言うものの、寿命と健康には限りがある、・・・あとどのくらい時間があるのかは神のみぞ知るだけれど。