李白と杜甫

今からおよそ千三百年前、中国が唐の時代に二人の詩人が現れた。

詩仙の李白と詩聖の杜甫李白は五言絶句の名手、杜甫は七言律詩の名人。

ともに流離の旅の中で詩を作り、ともに長江にゆかりのある偉人だ。

水に浮かぶ月をすくい取ろうとして川に落ちて溺れ死んだ李白、膨大な詩編を携え家族とともに流浪の旅に暮らし水上の小舟で命を終えた杜甫

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東山魁夷

年末年始の中国旅行を契機に漢詩唐詩の本を読んでいる。

韻律や平仄の規則を理解できないので、なかなか十分な味わいが難しい古典の世界ではあるけれど

言語の壁を越えて思いが胸に迫る。

盛唐の華やぎと都の乱や辺境の夷狄との終わりのない戦のなかで

悠久の自然と、限りある命と、人と人とが織りなす不条理を高らかに歌い上げた二人。

水墨画のような朧気な遥か古の2月12日は杜甫の誕生日だと知った。

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漢詩入門(一海知義、岩波ジュニア新書、1998)

唐詩選(吉川幸次郎三好達治岩波新書、1952) 

天遊の詩人 李白(中国の名詩4、田中克己訳、平凡社、1982)

杜甫川合康三岩波新書、2012)