新宿

久しぶりに新宿を歩いた。
かつて浄水場があった場所には
天を突くビルが乱立して
その間を人々が忙しげに歩く。
高層ビルの上階から眺めると
巨大な人工のモニュメントが
創造主としての人間の業と情念を象徴して
20世紀を支配した科学の時代の遺跡のように感じられた。
文明が自らを築きやがて滅びる運命を自覚なく主張する不気味を感じた。
異界で
かつてここで遊んだ思春期の時間が
錯覚なのか、陽炎のように蘇った。
晩秋の暑い日の幻想だろうか。