星野道夫の著作

それほど熱心な読書家ではないし、
読みたい本は図書館に予約したりブック・オフの通販で買ったりしているが、
それでもたまに本屋をぶらつくのが楽しい。
人気作家の単行本や話題の新書本を見ながら店内をぶらぶらし、
行けば必ず数冊の本を買ってしまう。
ハードカバーは読んだ後の処置が困るのでもっぱら図書館に予約する。
図書館の良いところは必ず予約が取れることだが、欠点はいつ順番が回ってくるのか予測できないことだろう。
すっかり忘れた頃に予約の順番が来たことを知らせるメールが来ることがあって、
なぜこの本を予約したのかすら忘れていることが多くなった。
本屋では文庫か新書しか買わないけれど、大概は興味のある分野に偏ってしまうから
同じ本を二度買ってしまうことがある。
そんな自戒を忘れないように本を眺めるようにしているが、
店先の棚に、心の琴線に触れる、思わぬ本を見つけると嬉しくなってしまうことがある。

いま読んでいる星野道夫の著作がまさにそんな本だ。
アラスカの自然に生きた写真家である星野道夫に著作があることを知らなかった。
大自然に命を捧げた夭折の写真家のことはよく知っているし写真展を見に行ったこともある。
次男の家には大判の写真集もある。
しかし、著作を読むのは初めてだ。
旅をする木」(文春文庫)を読み進んで行くと、この写真家のつぶやきがまるで、一対一で話をしてるように心に響く。
本との出会いとはこのことかと今更ながらに納得する。