母の日に線香を灯す

今日は母の日。親不孝な息子は遺影に線香を灯して遅まきながらの感謝を示す。

昨日も今日も雨が降ったり止んだりの気まぐれな一日だったので、二日続きで映画を観に行った。

昨日は「サハラのカフェのマリカ」を観た。サハラ砂漠を走る一本道で小さなカフェを営むひとり暮らしの老婦のドキュメンタリー(ロードムービー)だ。いろいろな事情がある老婆とここを訪れるトラックの運転手やオートバイに乗って砂漠を横断する旅行者との交流を描いている。メニューはお茶と卵料理とパンのみ。これといった筋はなく淡々と老婦の毎日が映し出される。マリカはアルジェリアの言葉で女王を意味する。

今日は以前に原作を読んでいた門井慶喜直木賞受賞作を映画化した「銀河鉄道の父」を観に行った。こちらは母ではなくて父の話。破天荒な宮沢賢治という息子を持った父親の愛の話だ。原作よりも賢治の素情を暖かく描いている。

親があっての我が身であるが、親達がどんな思いで、身を削って子育てをしてくれたのか今となっては知る由もない。まさに親の心子知らずを生きてきた。

映画は他の人生の追体験の手段。でも自分のこれまでの人生と重なることも少なくない。

二日続きの映画鑑賞で今日は少し疲れた。

部屋に線香の香りが充満した。