初日の出とスーパームーン

年末はみんな元気で、今年も家族旅行に出かけることができた。
目的地は知多半島の先に浮かぶ小さな島と三河蒲郡形原温泉(がまごうりかたはらおんせん)だ。
特段の理由があっての旅ではなく、
ただなんとなく知多半島を南下して日間賀島(ひまかじま)に渡り、
民宿に連泊し島の中をのんびり散歩し、名物の蛸とフグを食べ、
また船に乗って半島の先端の師崎(もろさき)に戻り魚市場を見学し、
そのあと行き当たりばったりで常滑のやきもの散歩道を観光し、
アカザエビとアワビを食べに蒲郡の温泉旅館に泊まり、
なんとなく帰ってくるという、お気軽で気まま旅だ。
長男家は車酔いを避けて電車旅行、次男家は我が家とともに自家用車組の二班に分かれて島で集合した。
二十九日から日間賀島に二泊、大晦日蒲郡形原温泉で一泊し元日に帰るプランだ。
年末の道も幹線道路から外れるとどこも空いている。
車班は行きの途中で豊川稲荷に寄り道した。
神社仏閣は年明けの初詣の準備で大忙しだったが、お参りの人影はまばらだった。


ここは予想外の組み合わせを発明する伝統がある三河地方の独特な文化圏、
この稲荷神社も神社かお寺か、よくわからない不思議な場所だった。
なんといっても神社の門前町で売っていた「ソースカツ稲荷寿司」は
伝統の文化を象徴していて感激した。
味は濃い目で、またとない組み合わせのいなり寿司の味はなんとも言い難い。
旅の醍醐味とは異文化との遭遇、まさにこれだろう。
師崎港から高速艇でわずか五分あまりの日間賀島はこじんまりした蛸漁の島。
フグも名物な漁業専業の島だ。



端から端まで歩いて三十分でたどり着けるような小さな島で、
採れた魚や貝は向かいの師崎の市場に水揚げされる。
島の高台には学校と高級な旅館やホテルもあるが、港近くの宿の多くは漁師と兼業の民宿だ。


なので島の中には魚屋がない。島民二千人の殆どが漁師なので魚は自給自足のようだ。
まだ暗い夜明け前から寒風吹き荒ぶなか次男家は勇んで釣りに出かけたが、一日かかって結局釣果はなし。この寒い中えらいとしか言えない。
あとのみんなは朝夕、ただなんとなくぶらぶら散歩で過ごす贅沢な二日間だった。
蛸もフグも美味しかった。



三日目の蒲郡形原温泉も何もない郊外の温泉場だった。
源泉温度が27度で加温、循環式の温泉だったけれど
泊まった部屋は海に面して一面の窓が広がり、快晴の元日の朝は綺麗な初日の出を眺めることができた。
夜の食事はカラオケ付きの大広間で、名物のアカザエビとアワビを食べた。
食後ははじめての家族揃ってのカラオケ大会だった。





ただし、古い旅館なので子供の歌えるような曲がなく、最後はアカペラでどんぐりコロコロをみんなで歌った。
元日の朝に現地解散、また来た時同様二手に分かれてそれぞれ帰った。
今朝は未明に起きると大きな満月が出ていた。
新たな年の最初で最大のスーパームーンだった。