振り袖サギ

世の中には悪い奴がいるもので、成人式の和服をあつかう業者が突然と姿を消し

新成人を迎えた若い女性が予約しておいた振袖の都合がつかず成人式に出席できない詐欺事件が起きた(「はれのひ」 事件)。テレビや新聞で連日報道されている。
こころから同情を禁じ得ない。
自治体によっては、あらためて式典を計画するところがあるようだ。
馬子にも衣装とは言うものの、着物が着れないので成人式に出席できなかったというのもなんだか釈然としない。
晴れの衣装を身に着けるのが目的なのか、大人となった若者に自覚を促し社会人としての未来を祝うことが目的なのか、式典の本末転倒が危惧される。

(夜明け)
確かに少子化でこどもの晴れ姿を見る機会が減って、本人よりも晴れの日を待ち焦がれる親や周りの大人にとって楽しみや生きがいとなっているだろうし、
成長した孫の着飾った姿に生きる元気をもらう爺婆も少なくないだろう(まさに、孫にも衣装)が、
衣装が着れなかったので、もういちど税金でお祝いしようというのであれば、これは異様な社会現象だと思えてならない。
それが思いやりのある優しい大人社会の対応であるとは到底、思えない。
むしろ悪いやつもいる、厳しい社会の現実を経験し、貴重な体験として記憶にとどめるための機会ととらえるべきだ。
「甘え」を許すばかりが社会のはなむけではないだろう。
自分が二十歳の時、成人式には出席しなかった。無視したといってもよい。それが大人たちのお仕着せに迎合しない、若者としてのささやかな反骨だった。