改元十連休

歴史的な二百年ぶりの天皇生前退位と新天皇の即位にともなう改元。四月で平成が終わった。

五月一日からは新たに令和の時代となった。改元にともない、はじめてのゴールデンウィーク十連休だ。

ご隠居様の身なので、別に混雑する連休に出かける必要はないのだけれど、前半は東北地方で桜見物、後半は自宅でのんびりの10日間だった。

4月27日の夜8時に愛車のエクシーガに飛び乗りテントと焚火道具を乗せて一路、東北地方を目指した。

天気がよくなる見込みなので弘前の桜見物を目指すことにした。

連休の初日なのにまったく渋滞がなく、休み休み走って、翌28日朝の8時に津軽平野の守り神、岩木山山麓岩木山神社の裏に位置する桜林公園に到着した。例年よりも運転はむしろ楽だった。

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ここはまだ桜の蕾が固い。カタクリの花はちょうど見ごろだった。

すでにテント村の賑わいになっているだろうとの予想に反して桜林公園内にはテント客がほとんどいない。

岩木山はまだ真っ白だ。

早々に日当たりのよい芝生の真ん中にテントを張って弘前城に桜見物に出かけた。

お城の桜はドンピシャの満開。外堀あたりはすでに盛りをすこし過ぎていたけれど、ボート乗り場も桜のトンネルもちょうど見頃の満開だった。

気温が上がり歩けば汗をかくほどの快晴になった。紫外線が強い。

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静かな町もこの時季だけは別格の賑わいをみせる。 市内は大渋滞だ。

町中を縦断する下土手町から公園前の市役所までのメインストリートはほとんど車が動かない。岩木川の川岸に設けられた臨時駐車場に車を停めて駒越の古い町並みを横目に見て公園まで歩いた。

地酒の松緑醸造元もこの連休はシャッターを下ろして休みだった。

昨年は諸般の事情で来れなかったが、ほぼ毎年この時期の津軽を訪れている。それでもちょうど桜の満開に遭遇するのは難しい。

今年は連休と満開が重なり、いつもの年に比べても大勢の人出だったように感じた。

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この時季の味覚として、クリガニを来るたびに賞味している。

今年は桜林にテントで二連泊して、連日太った蟹に舌鼓を打った。

子持ちのメスに白身の豊かなオス。味はずいぶんと違う。毛ガニに比べると、確かに味わいは淡泊だが、季節の味わいとしては十分楽しめる。青森の地酒がまたこの蟹によく合うのだ。

焚火を見つめながらの、酒が美味い。

弘前二日目も快晴。弘前公園は朝七時までは入園無料なので朝一番で静かな城内を散歩した。

連日、キャンプ場すぐそばの百沢温泉で汗を流した。車で五分。ここの湯はいかにも体に良さそうな、熱めのお湯で鉄っ気が多い。

三日目、天気が下り坂の予報となった。

特にこのあとの行き先は決めていなかった。天気次第で太平洋側を南下するか、日本海側にするか、様子をみて適当に決めることにしていた。

どちらも雨の予報なので迷った末、秋田から宮城に向かうことにした。
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(桜林を離れる朝には山麓の桜も八分咲きまで開花が進んだ)

鯵ヶ沢から道の駅めぐりをしながら深浦、八森をへて能代に向かうと雨になった。

だんだんと前が見えないほどの激しい雨になったので、この分では秋田での桜見物は難しい。

三泊目はキャンプを諦め、さらに南下して鳴子温泉峡の鬼首(おにこうべ)温泉の宿を予約した。

連休中の突撃の予約だったが、大正ロマン漂うとてもいい宿に泊まることができた。まったく我が家好みの渋い宿だった(鬼首温泉、大新館、竹プラン一泊10650円と格安)。

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夕食のメニューもちょうどよい量と献立だった(鯉の洗いにヤマメの姿焼き、鰻のかば焼き、鶏肉の小鍋に季節の野菜と田舎仕立ての煮物など)。枝垂れ桜を眺めながらの露天風呂が筆舌に尽くしがたい味わいだ。

小さな檜風呂も旅情をかきたてる。

あたりは花が満開だった。

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 翌日朝、宮城県大崎市(むかしの古川市)で開業医のSH氏に電話してみると在宅だという。大学のワンダーフォーゲル部で一緒だった旧友だ。

父親のあとを継いで16年前から地域の医院で仕事をしてるとのことだった。共通の友人で一昨年亡くなったON氏の結婚式以来の再会なので30数年ぶりだ。

さすが開業医、趣味は車の収集で新旧合わせて13台を所有するという。車庫前で、育休中の四人の子持ちの小児科医の長女と一緒に写真を撮らせてもらった。

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天気もいまいちなので帰宅するか、もう一泊するか迷ったけれど、せっかく宮城県にきたのでまだ訪れたことのない松島を観光することした。

さいわい昼から雨があがった。泊まりは仙台にほど近い公営のキャンプ場に決めた(長松園森林公園町民の森、大型テント一泊千円)。

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松島海岸駅のすぐそばの瑞巌寺脇の駐車場に車を停めて遊覧船(湾内一周50分で千円と安い)に乗った。

松島湾の島めぐりは意外とつまらかった。天気のせいだけではないだろう。小さな島々をめぐる海上の遊覧はそれなりの趣があったが、アナウンスが次々と迫る島の名前を告げるだけでまったく面白みがない。途中で眠くなってしまった。松尾芭蕉がため息を漏らすほどの感動を共有できるよう、説明には俳句の発句にまつわるエピソードや現代作家の逸話も含めてもっと工夫が必要だろう。

夕方近くになったが、せっかくなので瑞巌寺にお参りをして帰ろうと門前に向かった。なんと、入口の入場券売り場は長蛇の列だった。

平成から令和に替わって、御朱印を求める参拝客が押し寄せている。列に並ぶ気力が失せてキャンプ場に戻ると、もう夕闇が迫る時刻になった。

キャンプ場の事務所で購入した薪一束(五百円)は松の木片で火付きはよいが勢いよく爆ぜて危ない。火の粉が飛んでテントに穴が開きそうだったので、持参の島忠で購入した杉の薪だけ燃やしてこの夜の焚火は終わりにした。

朝になると薄曇り。夜半の雨は上がっていた。4時に起き、6時半に出発した。

陽が照って気持ちの良い天気になり、、高速道路はガラガラ。まさに風薫る五月の快適なドライブになった。

常磐道では一部事故による通行止めがあったが、全く渋滞はなく昼前に帰宅した。

連休後半は自宅と買い物で過ごす。

孫たちの訪問に備えて久しぶりにフランス料理の本を紐解き、三日がかりでビーフシチューを仕込んだ。

こどもの日前後の三日間は孫たちが泊まりに来て例のごとくのてんやわんやの状態だった。

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(へーちゃんの愛読書、芋虫図鑑三巻)

へーちゃんは前回来た時に作ったトリケラトプスの模型の修理で初めての半田コテ体験を終えると、モスラと怪獣や深海生物のYouTubeばかり観て過ごし、姉のマドちゃんは絵を描いたり弟とiPadを取り合って喧嘩をしたりで忙しい。カン君は一泊の予定を延長して連泊し、へーちゃんの誕生日祝いに取り寄せておいたテラノザウルスの動く模型の代理製作に没頭していた。

連休最後の収穫は目の前の大岡川でへーちゃんが網で亀をすくったことだった。

あれやこれやで盛りだくさんの十連休はあっという間に無事に終了した。