絵画鑑賞

せっかくの体育の日の三連休だが、天候不順で山に行けない。
今年はなぜか、週末や連休になると天気が崩れる。
秋田の森吉山では遭難が出たようだ。
今年の紅葉は見に行けないかもしれないとガッカリする。
気持ちを取り直して雨のなか二日続きで東京に絵画展を観に行った。
土曜日は上野の都立美術館でゴッホゴーギャン展。

日本人はゴッホが大好き、その悲劇的な人生にも絵画以上に心を揺さぶられるからだろう。
儚くもゴーギャンとの短い同居生活を契機に精神の破綻が頂点に達する。
しかし、オランダからフランスに来て短期間に豹変する彼の画業が奇跡的だ。
この企画は充実した絵画展だった。
昨日の日曜日は東京ミッドタウンサントリー美術館
鈴木其一展を観に行った。

大作の青い朝顔の金屏風が有名な画家だ。
すでにこの作品はアメリカにわたってしまっているが、
日本画の世界は簡単そうで難解だ。
独創的な芸術というより、工芸に近いからだろう。
細密画のように緻密に書き込まれた細部と大胆に塗り潰された被写体の描写では
相容れない異次元の世界が同居する。
多くが見本から再構成され、現代で言えばデザインやコラージュに近い。
写実とイマジネーションが同居し、現代の鑑賞者には不安定な平衡感と不統一な違和感が呼び込まれる。
感心はしても感動はしない。
六本木には久しぶりに行ったが、ここも異次元の世界になっている。
文明のなし得た成果に驚きはあるが、明日につながる生命としての存在感がない。
都会人はここで喜びや充実感を感じているのかと不思議な感じがした。
案外、鈴木其一の世界と共通するものがあるのかもしれない。