秘湯を訪ねる〜箱根太陽山荘

気持ちが痩せてきて元気が出ないので、
鄙びた温泉にでも行ってリフレッシュしたいなあと独り言を言っていたら、
なんと家内が予約を入れてくれて先週末は新宿で映画を観たあと
急転直下、箱根の強羅に温泉旅行に行った。
新宿から小田急の急行に乗り込み箱根湯本でのそのそと登山鉄道に乗り換えて、険しい軌道をスイッチバックで登る。
泊まったのは強羅の駅から歩いてわずか五分の秘湯の宿だ。少し前の週刊文春に載っていた。
週末なのに前日に予約が取れる宿だから、きっとすべての意味で秘湯だろう。


あと少しで年金暮らしになる我が家では今後の緊縮財政が喫緊の課題だ。
とは言うものの泊まった「箱根太陽山荘」は庶民の味方、質素で古風な国民宿舎だった。




登録有形文化財の木造旅館は風情があって心が和む。
大涌谷から引いた白濁した湯をたたえる浴室は二つ、日替わりで男女が入れ替わる。
質素だが老人にはちょうどよい家庭的な食事もよかった。

運動不足だから帰りは強羅から箱根湯本まで箱根駅伝のコースになっている車道を歩いてみた。
以前に後輩のT氏の結婚式で泊めてもらった富士屋ホテルでは出来立てのパンを買った。
いつもは車で通り過ぎる勾配のある坂道も歩いてみると道沿いにはたくさんの新しい出会いがあった。





残念なのは歩道がないこと。
きっと安全な歩行者専用の道があればもっと歩く人も増えるだろう。
それでも昔のひとはここを歩いて箱根越えしたのだろうと想像するとなんだか楽しくなった。
少し元気が戻って、はやく下界にも春が来ないかと、首を長くして待つ気分になった。