駅弁を食べよう

先週末からぐんぐんと気温があがり、連日30度前後の厳しい真夏日となった。

季節が巡る。

関東地方では平年より数日遅れて、一昨日(6月11日)梅雨入りした。

入梅前夜の夕空は厚い雲に覆われ、蒸し暑い梅雨の始まりを宣言するようだった。

夕日に照らされて輝く入道雲はその先に夏が来ることを告げている。

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紫陽花が咲き朝顔の苗も育って夕立のような激しい雨が降ったと思うと霧雨になり時々薄日が射す。

高原はすっかり新緑に覆われて夏へ向かう準備ができているのだろう。

きっと尾瀬の湿原は水芭蕉の盛りを過ぎてリュウキンカの濃い黄色の花が木道を彩っているに違いない。

なかなか遠出のできない今年は家で旅を楽しむ方法を考えよう。

旅は出会い。大気の匂いも、風の音も、土地の味覚も、すべてが出会いだ。

森の中で炊く飯の音、朝を告げる鳥の声や朝霧に覆われた峰々にたなびく雲。小川を流れる清水に泳ぐ岩魚の群れも生命の輝きを謳う。

家でできる旅は何か、駅弁である。

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藤沢駅改札口前で買った大船軒の駅弁)

昔のように駅のホームで弁当売りを見ることはもうできないし、すでにその姿を知っている世代も少数派になってしまった。

列車が駅に滑り込むと同時に窓を押し上げて「お弁当屋さ〜ん」と呼ぶ風情は旅の醍醐味だった。

冷凍みかんや瀬戸物の容器に入った熱いお茶と芳しい釜飯を味わうのが旅の大きな楽しみだった。

今ではホームのキオスクでも地域特産の弁当を売る店はまれになった。

懐かしい旅の景色を思いながら家でもできる旅の体験に、自宅で駅弁を食べることにしよう。

東海道線に乗って仕事に出かけた帰りに、改札口前の店で駅弁を買って帰った。

さあ、よく冷えたビールとともになつかしい旅の旅情を味わおう。

家籠りの続く毎日、ささやかだが絶好の旅ができる。