京都紅葉三昧(つづき)

旅の楽しみ方は人それぞれだろうが、あまり綿密な計画を立てて歩き回るのは好みでない。
ポイントだけ決めて、あとは行き当たりばったりのブラブラ旅が愉しい。
知らない街を地図を片手に歩いたり、古風な家や潰れそうな店を覗くのも味がある。
もうひとつの旅の愉しみはその土地ならでは料理やお菓子を食べること。
運動不足と不節制で太り過ぎになってしまったから
手当たり次第になんでも食べる訳には行かないのが悩みのタネだ。
でも、わかっているけれど店先に試食が出ているとついつい手が伸びてしまう。
こたびの街歩きでは漬け物と生八ツ橋の試食をたくさん食べた。

四条烏丸の古風な食堂、萬福で、昔ながらのカレーうどんを食べる)

京都の三日目の朝は快晴だった。
天気予報では一日晴れの絶好の観光日和だ。
朝早く吉野家の朝定食を食べたくて駅の反対側の八条口まで行った。
吉野家の朝定食を食べるのは前回京都に来て以来2回目だ。
納豆定食には生卵、納豆、味付け海苔と味噌汁にご飯に漬物で、なんと三百六十円だ。朝ご飯はこれで十分。
シンプルだけれど、なかなか自宅では体験できない日本の外食純正朝ご飯に感動する。
天気もいいし、残り一日は京都を代表する紅葉の三大名所を訪ねることにした。
昨日に引き続き市バスと京都バスの一日乗り放題チケット五百円を買い、始めに東福寺に行った。
開門すぐの朝一番に境内に入ったけれどすでに人、人、人で大混雑だ。
有名な通天橋は写真を撮る観光客で大渋滞だった。



紅葉は見事だった。喧騒には無関心に忙しく落ち葉を掃く寺の若者の姿が印象的だった。
バスを乗り継ぎ、つぎは南禅寺に向かった。広々と開放的な境内が気持ちを和ませる。

南禅寺から永観堂禅林寺に向かう。まだ朝の十時過ぎなのに湯豆腐の店前には長蛇の列ができていた。


永観堂もすでに大混雑。優しい陽の光に映える紅葉の写真を撮って街中にもどることにした。
バスを待っていると一日晴れの予報に反して雲行きが怪しくなって来た。
陽が陰ると冷たい北風が吹いてダウンのジャンバーを着ていなければ凍えてしまうところだった。

(レストラン菊水、デザート付きグラタンとミックスフライ定食を食べた)
四条河原町に戻り、前から気になっていた老舗の洋食レストラン菊水でランチを食べた。
街角にあるこの店も創業百一年を迎えたそうだ。
客は地元の高齢者、特に女性が目立った。ランチの量は控えめで高齢者にはちょうど良いのが人気の秘訣だろう。
雲が広がって時折小雨がぱらつきだしたので昼過ぎに観光は切り上げて、午後一時半過ぎの新幹線ひかりに乗って帰ってきた。
京都の紅葉の名所を順位づけするとしたら、一位が永観堂、二位が東福寺、三位が南禅寺だろうと、一人で勝手に決めた。