古いiPadで絵を描く

今日は誕生日。今朝早く、息子からおめでとうの電話が鳴った。あちこち不具合はあるが、それでも自立した七十二歳を迎えられたことはおめでたい。

少子高齢化で、この国では四人にひとりが高齢者だし、今年九月初日時点の住民基本台帳に基づく百歳以上の高齢者は九万五百二十六人にまで増えて五十二年連続の増加だそうだから、百寿の人からみたら七十二歳なんてまだほんの洟垂れ小僧のようなものだろう。

新型コロナウイルス感染症はすでに第八波が到来した。東京の患者が一万人を越えている。意外なのは北海道で、東京に次いで二番目に患者が多く、連日一万人以上の感染者が発生している。北国には雪がチラつく冬が到来しているためなのだろう。幼い子どものいる三男一家が心配だ。北国の冬は寒く、厳しい。

接種券が届いていたので、誕生日を控えて昨日はいつものクリニックで五回目の新型コロナウイルスワクチンを接種してもらった。たまたま居合せた、痩せて見るからにヨボヨボの老人然とした男性と言葉を交わすと、なんと同じ歳だった。彼は六月生まれで、見かけと違って特に病気もなく、薬も飲んでおらず健康そのものだと言っていた。端から見ればこの方と同じように自分もりっぱな老人の姿なのだろう。むしろ自分は薬も飲んでいる身なのでちょっと負けている。すっかり意気消沈してしまう出来事だった。

古くなって通信速度が極端に遅くなり、もうインターネットを見る道具としては使いものにならないiPad mini(2015年6月28日購入、iPadmini2)がある。長年愛用した、思い出と愛着のある器械だけれど、すでに新しい器械を買って世代交代したので、使い道もなく放置してあった。捨てようか、下取りにでも出してもう一台新しいものを購入しようかと迷っていたところ、たまたまちょっとした縁で簡単な略図を描く必要があったので、無料で使えるお絵かきアプリ(ibisPaintX)を入れて試してみた。

花瓶の菊を殴り描きしてみたが、これがなんともいい味なのだ。まさに自画自賛。はじめてパソコンで絵を描いたけれど、なかなか楽しくて、簡単で、暇つぶしにはもってこいなのである。手軽に描けるし、絵の具も水も筆もいらず、新たな趣味になりそうだ。

古くなったものでも、まだ動くうちは使い方次第で役に立つモノもあるのである。

iPad処女作「菊のクロッキー

第2作目「菊」

第3作目「沖縄ガラスの泡盛入れ」

早寝早起きとコロナ禍でこの三年以上、夜の飲み会や食事会はまったくなくなった。今年も忘年会はなしだろう。この習慣が身について、日が暮れるともう外を出歩く意欲が沸かなくなってしまった。これも老化現象なのだろう。今日の昼間は午前中は自分が、午後は家内に予定があって、おまけに予約しておいた愛車の車検の日だから、昼間は誕生日祝いの食事に出かけられない。そこで先週の土曜日に、予約を取って横浜港大桟橋そばの北欧レストラン「スカンジア」に誕生日祝いのランチを食べに行った。期待通りの落ち着いた風情のお店でゆたりと白ワインを飲み、北欧料理をいただいた。

北欧料理レストラン「スカンジア」と名物料理の看板

スモール「スモーガスボード」

前菜やメインの肉料理がセットになった、この店の名物の「スモーガスボード」という名の盛り付け料理を食べたかったが、お店の方に量が多いのでハーフサイズを勧められた。デザートには誕生日ケーキを頼んであったので、このサイズでちょうど正解だった。HPによれば、この店は創業が1963年なので来年は還暦を迎える。店内には今年91歳になる女性オーナーの姿もあったし、総料理長の男性もフロアでコンシェルジュをしていて店全体が古き良き横浜の雰囲気を醸していた。一度は経験してみたかった、長年あこがれのレストランで食事が出来て、また夢をひとつ実現できた。常連になるには少し敷居が高い店だが、また訪れたい店ができたことはうれしいかぎりだ。いつまでも伝統の味を守って営業を続けて欲しい貴重な老舗レストランである。

ハッピー・バースディ・ケーキ