(登山口の大雪山旭岳ローブウェイ前のビジターセンター)
今年の夏山は大雪山旭岳にチングルマの群生を見に行くことにした。
大雪山旭岳は三度目のチャレンジだ。
(すでに定宿となったいる大雪山白樺荘)
七月十九日に三度目なのでもう定宿と言ってもいいだろう旭岳温泉白樺荘に前泊し、やや熱めの露天風呂で疲れを癒した。加水なしの温泉は自営の三つの自家源泉から引いている。三角屋根の展望室が特徴的な建物で、館内は明るく清潔だ。家庭的な雰囲気の宿では食事も手作り感のあるボリュームたっぷりのおかずがたくさん並ぶ。今回もここに三連泊した。コロナ禍が解禁したからだろう、これまでと違って同宿の三分の一は中国語を話す客だった。道を隔てた宿の正面には静かな国営大雪山野営場がある。
(ロープウェイ姿見駅から旭岳を見上げる)
七月二十日は朝から快晴だった。朝食をキャンセルして始発のロープウェイに乗って旭岳中腹に広がる旭平に辿り着いた。
旭岳は朝の逆光に際立つ姿を姿見の池にくっきりと写していた。地獄谷に噴き上がる白煙が活火山のこの山を際立つ存在に演出している。
(姿見の池)
いよいよ花の大雪山周遊の始まり。登山道に沿ってたくさんの高山植物が花を開く。
(マルバシモツケ)
(イワブクロ)
初めて旭岳登山に挑戦した時は(2020年8月12日)、強風とガスでニセ金庫岩付近で断念して下山し、登頂は叶わなかった。
(メアカンキンバイ)
二度目の挑戦は昨年(2022年8月13日)だった。このときは金庫岩まではよく晴れて眺望も効いたけれど、頂上直前でガスに被われてしまい登頂はできたものの頂上からの眺望を楽しむことができなかった。幸い3度目の正直の今回は頂上から360度景色を堪能できた。ようやくの眺望だった。
(金庫岩)
今回の旭岳登山は頂上から中岳温泉を経由して裾合平のチングルマのお花畑を歩くことが最大の目的だった。
燦々と降り注ぐ光を浴びて登山道に沿って色とりどり、たくさんの花が咲いていた。裏旭野営場を過ぎてなだらかな間宮岳への道を歩いて行くと御鉢平の向こうに黒岳の台地がよく見えた。
(後旭岳との鞍部に下る雪渓)
(ジムカデ)
(コマクサ)
(間宮岳へ向かう)
間宮岳(2185m)の標識がぽつんと立つ広々とした砂地の台地を過ぎると、その先の中岳分岐から登山道は裾合平へとゆるやかな下りとなる。雪渓の間に見事な花の群生が見える。
(エゾヨツバシオガマ)
視界のさきに裾合平を眺めながら、これまでとは異なる岩の多い急坂をくだると硫黄の匂いがきつい中岳温泉に至る。ここで多くの登山客が昼食を兼ねた大休止をしていた。熱い温泉の流れる沢筋をせき止めて足が真っ赤になるまで足湯温泉を楽しむ登山客が多かった。お湯を沸かし持参のガパオ・リゾットを食べた。
中岳温泉の過ぎるといよいよ裾合平に辿り着く。
(中岳温泉)
(リュウキンカ)
(エゾノツガザクラ)
(アオノツガザクラ)
(ウコンウツギ)
(裾合平の大お花畑)
(チングルマの群生)
(エゾコザクラのお花畑)
百花繚乱。辺り一面に大雪山の花々が咲き乱れる。
日本には花の美しい山々があちこちにあるけれど、これまで自分の足で歩いた峰々の双璧は大雪山系と飯豊山系だと思う。とくに大雪山はお花畑が大きく花の種類も多い。まさに天空の別天地と言っても良い。アイヌの人々がこの地を神々の遊ぶ庭(カムイミンテラ)と呼んだ理由がよくわかる。
快晴の日が続いたので翌日も山歩きをしようと思っていたが、全身の筋肉痛で階段の上り下りにも難渋して断念。かわりに旭山動物園を観光し、ラーメン村で旭川ラーメンを賞味した。
帰宅して7月22日は関東地方の梅雨が明けた。いよいよ過酷な真夏が到来した。