金曜日の夜に

近くに家電量販店の大規模店舗ができ
今日はその開店日だった。
朝早くから特売品目当ての長い行列ができたらしい。
妻も列に加わって午前中いっぱいをかけて整理券を手に入れたらしいが
抽選で外れて一日を無駄にしたとぼやいていた。
これといって必要なものや欲しい電気製品ははないが
たまには和室に寝転がってテレビを見たいと思うこともあるので
もう一台小さなテレビを買ってもいいかもしれないと思い
帰宅して夜になってから冷やかしに行ってきた。
開店日の店内は混雑していて店員達の熱気のこもったかけ声が交錯していた。
こんなに電気製品が欲しい人たちがいることに呆れた。
客のほとんどが自分と同じ冷やかしかもしれないとも思ったがレジにも大勢の客がいて驚いた。
液晶テレビがずいぶん安く売っていた。
リビングにおいてあるテレビを買ったときに比べると半額ぐらいだ。
こんなに値が下がると作る方も売る方も利益を出すのは大変だろう。
電気製品や自家用車の販売に経済の基盤を依存する
日本の産業構造も曲がり角だなと売り場の喧騒とは不釣り合いに一人合点した。
店を出ると冷たい雨だった。
寝る前に角田光代の小説「薄闇シルエット」を読んだ。
読み終わって何が書いてあったか覚えていないような小説だった。