伊勢鳥羽の旅

昨年は大震災や原発事故で暗い年だったので
今年初めての旅は伊勢神宮を参拝して
この年が平安であることを祈念することにした。
伊勢神宮には長男の大学受験の合格祈願に行って以来だから17年ぶり、2度目の参拝だ。
神頼みの効果があったからだろうか(もちろん本人の努力もあっただろうけれど)、
無事志望校に合格したから
ずいぶんと時間をおいたおかげ参りということになる。
新車「ブンブン2号」での初めての遠出は快適だった。
初めて装着したカーナビの使い方がよくわからず
ともかく言いなりに走って
家を出て意外に早く6時間あまりで伊勢神宮に着いた。

いい天気だったから正月明けの最初の連休の7日の土曜日でも

神宮は大勢の参拝客で賑っていた。

おごそかに祈りを捧げ交通安全のお守りを買って、

あとは「おまいり通り」と「おかげ横丁」で買い食い三昧。

どこも大にぎわいで、まずは定番、伊勢うどんを食べる。
ここのうどんは太くてこしがないぶよぶようどんで、これが特徴らしい。
汁の色は醤油ベースで濃いけれど味は案外あっさりしている。

揚げ蒲鉾(絶品!ビールが飲みたかったな)、秋刀魚の干物、名物赤福と食べ歩く。

珍しいみかん大福をおみやげに買い(帰りの車中で食べてしまったけど)、
満腹で伊勢神宮の参拝を終えて
今夜の宿を予約してある答志島へは

鳥羽の佐田浜港から連絡船に乗って渡った。
ほんの20分で到着した和具港の桟橋には冷たい島風が吹き
温泉旅館「美さき」の主人が寒風に震えながら迎えてくれた。

宿は和具港から少し離れたこの島のもうひとつの港、答志港に面した一軒宿だった。
歩いても和具港から15分たらずのところに車でほんの数分で到着した。

(赤い屋根の旅館、温泉は源泉からタンクで運んでくるそうだ)
小さな漁港のすぐ目の前の旅館で
向かいにはこの島の守り神が祭ってある八幡神社が見える。
窓を開けると身を切るような冷たい浜風が吹いている。
冷蔵庫の中をみると日本酒は月桂冠しかなかったので

夕方散歩がてら答志港の迷路のような路地に晩酌用の地酒を買いに行った。
これで準備万端、さて楽しみな夕食だ。
期待以上に夕食はすごかった。


伊勢海老、平目、サザエ、鰆、黒鯛の刺身、蒸した伊勢エビ、殻付き牡蠣の蒸し焼き、丸のまま一匹の茹で蛸、カレイの南蛮漬け、蒸しワタリガニ・・・。食べきれなくて蛸はお土産に冷凍してもらった。
島旅の楽しみはなんといっても海の幸だ。

島の朝は6時に時報がわりのサイレンが鳴る。
津波警報かと驚いて飛び起きた)
あとで主人に聞くと寝坊な漁師の眼を覚ますのが目的だとか(・・・本当かなあ)。

(日の出は7時)
翌朝も快晴、今日はこの地方の成人式の日だった。
宿の娘も今日が成人式で、赤い振袖に髪を結い上げて晴れの式典に徹夜で備えたらしい。
島には美容院が一軒しかなくてじゃんけんで順番を決めたらしく朝3時に髪を結ってもらったと言っていた。
新成人のお祓いを龍神を祀るこの島のパワースポット(?)美多羅志(みたらし)神社で見物した。
いかにも現代的な派手な衣装の新成人は12人だった。
でも二十歳になった七五三の子供の様で、特に男の子が頼りなげだったのが気になる(この国の将来を担う若者にはしっかりしてもらわないとなあ)。
また連絡船で鳥羽佐田浜に戻り

二見浦の夫婦岩を見物に脚を延ばし
ここでも参道で塩羊羹や餅を買って、
またまた帰りの道筋で目に入った和菓子屋で返馬(へんば)餅なるこの地の名物らしいお餅を食べ
あとは高速を走って帰ってきた。
雪山もいいけれど冬の島旅もまた格別だ。
そう、島に行くなら静かな冬に限る。