食べ物と料理

先日暇つぶしに本屋をぶらぶらしていて、なつかしい本を見つけた。
東海林さだおの「ショージ君の料理大好き!」という文庫本だ。
昭和56年(1981年)初版の再版だ。

毎日夜遅くまで仕事に追われて、この本の初版が出た頃何を食べていたのか記憶は定かではないが、
たまの休みに子供達とクッキーやアップルパイを焼いたりして楽しんでいたように思う。
手作りソーセージは家族一同に不評だった。
スパケッティといえばケチャップたっぷりのナポリタンが定番で、
今のようにアルデンテがどうのこうのと言うような時代ではなかったように記憶している。

年をとって楽しみといえば、たまの山歩きや散歩がてらに写真を撮ることとか夜寝る前に読む小説もそうだけれど、とくに食べることが最大の喜びになった。
血の滴るようなステーキや高級な食材を使ったフランス料理ではなくて、
懐かしい味の魚の干物とか、青菜のおひたしとか、里芋の煮物とかが無性に食べたくなる。
パラパラとページをめくりながら、この本を拾い読みしていると、
毎日台所に立って、主夫の生活も悪くないかもしれないと思う。
そういえば、伊丹十三訳の「主夫と生活」というエッセイを読んだ記憶がある。
まあ、しかし、このさき年金だけでは暮らせない時代になりそうなので、
専業主夫になるには、代わりに誰か働いて生活費を稼いでくれないと困るなあ。