大雪山系周遊

7月末の週間天気予報では8月上旬の北海道中部地方(道央)は晴れ時々曇りの予報だったので、
今年の夏山は憧れの大雪山に登ると決め、夏休みをとって8月3日から大雪山に登ることにした。

大雪山には大学1年の夏にワンダーフォーゲル部で二週間の大縦走をして以来、行ければ実に46年ぶりの山歩きとなる。
むかし眺めた美しい山々の姿と一面に咲くお花畑がずっと記憶に残っていたので、
ぜひもう一度花の咲く時期に登りたいと思っていたが、北海道の山は深く、おいそれとは行くことができない。

久しぶりの大きな山歩きに期待が膨らんだが、直前になり低気圧が近づいて
時々雨の予報に変わってしまった。

それでなくても山の天気は予測不能だが、まして雨の予報では青空は期待できず
どこを歩くか、なかなかコースが決められない。

安全と体力を考え、テント泊はあきらめ、大雪山系の北の端、雨でも下山しやすい黒岳に登ることにして、
とりあえず山中二泊できるようにと携帯食と飲み水を二日分を準備した。
もしひどい雨が降って山歩きが無理でも、どこにでも行き先を変更できるように空港は最寄りの旭川ではなく,
新千歳空港までにして、羽田から朝一番の飛行機に乗り飛んだ。
今回は荷物が重いので、未練は残るが一眼レフカメラは自宅に置いてきた。

降り立った新千歳空港は曇り、好天を期待してレンタカーを北に向かって走らせていると
旭川の手前辺りから、もう小雨がぱらつきだした。
比布を過ぎると雨が上がり、これならなんとかなるかもしれないと、
やっぱり黒岳に登ることにして登山口へ向かった。


(ロープウェイ乗り場、五合目までは片道1100円、往復で1950円)
黒岳には北海道有数の観光地、層雲峡温泉から黒岳ロープウェイで五合目まで行く。
五合目のレストランで腹ごしらえ(黒岳セット、豚丼とそばで950円)をして

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(リフトは別料金、片道400円と高い!)


さらにリフトを乗り継いで七合目まで上がって、ここからが登山道だ。
リフトを下りると、いきなりシマリスのうれしいお出迎えがあった。
憧れの北海道の山に来たことを実感する。
雨は降っていなかったが、見上げた頂上方面はガスの中で何も見えない。
リフトの終点から景色のない山道を一気に頂上を目指す。
青息吐息で登っていると風が吹いて、時々雲間からは道央のなだらかな山々を眺めることができた。


頂上までは休みをいれてわずか一時間半の登りだが、久しぶりの大荷物を担いでの急登はきつかった。
登りだしてすぐ、山の花が咲いていた。
本州と違って、キンバイの花がとても大きい。
八合目のベンチでまたシマリスに出会う。。
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休んでいた若者の手から餌をとって食べていた。まったく人を恐れないようだ。
汗だくになって頂上に着くと、かろうじて景色が開けた。

(頂上間近の、通称、招き岩)

(黒岳山頂)


このさきにそびえているはずの旭岳の姿はたなびく雲に隠れて見えない。
一面に花が咲くなだらかな鞍部を十数分下ると黒岳石室に着いた。






(雨水をためる大きなタンクが置いてあった)
目の前にはこじんまりした、気持ちのよさそうな、テントサイトがあり、
国際色豊かに、スペインやロシヤから欧米人の登山客が来ていた。
石室はできて90年たっているそうだ(素泊まりのみ、毛布付き一泊2000円、天水あり、バイオトイレ完備)。(ダニにくわれた。)
中は蚕棚方式で薄暗い。天気のせいか宿泊客は定員の半分くらいだった。
夕方一時日が差すが、風は冷たくダウンを着て丁度よいくらいだった。下界の暑さとはまったくの別世界だ。
石室の前のベンチで夕食を食べウイスキーをちびちび飲んでいるといきなり大粒の雨になり、
雷も鳴りだした。

トタン屋根に雨の音が響き、夜半からは風も吹いて朝までずっと雨が降った。
ここは夜空が美しいことでも有名で、星空を見に来る登山客も多いそうだが、あいにくの天気だ。
天気がよければ狭い石室は超満員だったのだろう。
二日目の朝も、ガスで景色はなし。

小屋番の話では、今日も天気は期待できないとのこと。
天気が良ければ、旭岳まで行って雲ノ平を周遊してまた石室に戻る予定だったが、
この天気では何も見えず、諦めて三日目の予定だった北海岳から赤岳を通って銀泉台に下りることにした。
この道も花が美しいコースだと地図にある。
石室を出て少し下るといきなり昨日の雨で増水した沢の渡渉になった。
靴が水浸しになる。、
あとはなだらかな道を歩く。




(北海岳山頂はガスの中)
北海岳を過ぎて白雲岳への分岐に差し掛かったあたりから少しガスが切れて
景色が眺められるようになった。
白雲岳は雲の中で眺望が期待できずパス。

(本当はこのガスの先に白雲岳があるはずだが、見えない)

(かいま見えた黒岳全容)




時々雲の切れ間から黒岳のあたりがかろうじて眺められたが、
彼方の山並みはまったく見えなかった。それでも残雪に咲く一面のお花畑が素晴らしい。
さすが花の大雪山系の名に恥じない。

(三角型の特徴ある烏帽子岳、登山道から逸れている)

近くの烏帽子岳を眺めながら強風に吹かれて赤岳に向かうと上空に青空が広がってきた。
途中、北大の研究員に遭遇した。この辺りには永久凍土が2箇所あり、その調査をしているとのことだった。
吹き飛ばされそうな風のなかを進み赤岳頂上に着くころには、すっかり青空が広がり日差しが厳しくなった。
本当に山の天気はわからない。
それでも残念ながら北海道の最高峰、旭岳や第2峰の北鎮岳は雲の中で見えなかった。




(赤岳頂上)
ここからバス停のある銀泉台に下る。
第4雪渓、第3雪渓と下ってくると青空の下に広大なお花畑が広がっていた。

(大きな第4雪渓、周りがお花畑になっていた)

(コマクサ平手前から見た第3雪渓)

コマクサ平で小休止、コマクサの群生が見事だ。
さらに下山すると第2花園、第1花園には雪渓が多く残り、花の芽はまだ雪の下に埋もれていた。
山の花に囲まれて石室を出て6時間でバス停のある銀泉台に着いた。

途中、白雲岳をパスしたので、まだ12時半だった。バスは一日二便しかなく午後は15時30分のみしかないので、
昼寝をして3時間、時間を潰す。
青森から登山に来ていた老夫婦は前々日、旭岳温泉に泊まり旭岳九合目を往復して
前日層雲峡温泉に移動して、今日赤岳に山の花を見に来たそうだ。
石室で一緒だった若いペアはお鉢(雲の平)を一周して同じコースを下りてきたが、
お鉢めぐりではまったく何も見えなかったようだ。
青森の老夫婦が泊ったのはホテル大雪だそうなので、
層雲峡に戻り、飛び込みでホテル大雪に宿をとって、温泉で汗を流した。
この温泉は単純硫黄泉だそうだが、無味無臭で、透明なお湯だった。
飛び込み客は事前予約より値段が高い(ネットでは一泊1万1千円だが、当日料金では1万5千円だった)。
5時少し前に部屋に入り、夕食は5時半からのバイキングだった。
食事はまあまあだった。
三日目は美瑛から富良野を通り、
北海道らしい景色を堪能して家内の実家の白老まで爽快なドライブだった。
マツダデミオの燃費はすごい。ハイブリットではないのに600キロ余り走って32.5リットルのガソリン消費だった。
愛車のスバルの約2倍近い燃料効率だ。
白老に着くと腰がおかしい。運転席の椅子があわなかったようで、ぎっくり腰になってしまった。