幸福に辿り着く:春の帯広日帰り

三男のお嫁さんの両親との初顔合わせで帯広を日帰りした。
帯広はまだ早春だ。朝一番の飛行機を降り立つと気温はマイナス1度だった。
道の脇には除雪した雪が、まさに小山になっている。
空が広くて、澄み切った大気を貫く光が眩しい。
北の大地は芽吹きの季節には少し早く、花粉が飛んでいない。
花粉症の家内も私もマスクなしで、なんともない。
時間があったので空港から駅前に向かう途中で寄り道して、郊外の観光地と
お嫁さんが育った故郷の清水町や最近まで勤めていた芽室町を走ってもらった。
ところどころ防風林が連なる広々とした雪原には牧場施設や民家が点在していた。
同じ日本とは思えないほどの広大な景色の向こうには
地平線のうえに日高の山脈がどっかりと連なっている。

廃線となって今は観光名所となった幸福駅


(耳を澄ますとゴトゴトと列車の走る音が響いてくるような気がした)
会場は帯広駅から歩いて15分程度の北海道ホテル。アイヌ伝承の模様を外壁にデザインしたレンガ作りの重厚なホテルだ。
二階の立派な個室が家族の初顔合わせの会場だった。
両家ともはじめは緊張ぎみだったけれど、お昼からビールに赤白ワインを飲みながらフランス料理のコースを堪能してだんだん和やかな会になった。


(帯広の街角にはたくさんの鹿が居た)
お嫁さんの実家は農業と畜産をしている。
野菜は白砂糖の原料のビート、豆類やブロッコリーなどを作っているそうだ。
先週生まれた和牛の子は30万円で売れたと話していた。
今日は会わなかった弟の長男くんが父親と一緒に働いていて、いずれは跡取りになるのだろう。
スリムで日焼けした父親、明るい笑顔を絶やさない母親、母親にそっくり顔のお嫁さん。
厳しい自然と豊かな北の大地にしっかりと根を下ろして逞しく暮らす家族の姿が見えたような気がした。
なかなか予定が合わず、日帰りで駆け足の帯広訪問だったけれど、
春の日差しが輝く実りの多い一日だった。
これから新たな家庭を築く若い二人に幸多かれと祈りたい。