梅雨が明けない

7月もあと一週間を残すだけとなったが、まだ梅雨が明けない今年の夏。昨年のこの時期は猛暑で熊谷で記録的な41.1℃の国内最高気温が出たのに、今年は海の日を過ぎても肌寒い日が続いた。

先週まで雨が続きこの二日ほど少し陽射しが戻ったので、いよいよ梅雨明けかと思ったら、梅雨前線が消えても台風が発生しそうで関東には梅雨明け宣言が出ない。それでもベランダの朝顔は次々と花を開き、去年に実から落ちて自生したゴーヤーの花も咲きだした。成長が止まったいたトマトもようやく色づいてきた。

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私たちが子供の頃は、夏休みは7月20日から8月いっぱいと決まっていた。最近は地域によって夏休み期間が違うようで、このあたりでもようやく夏休みに入った小学校がある。

三人の孫たちの通う学区では昔ながらの20日から夏休みが始まり、さっそく翌日の先週末に我が家に泊まりに来た。それぞれ夏休みには行事が目白押しで、まず最初に我が家に泊まりに来た格好だ。大中小の三人と和室に布団を敷き詰めて川の字になって寝た。まさに合宿所状態だ。

少し前までは寝入りばなに何か話をするようねだったものだが、最近ではまったく要望がない。それだけでも成長を感じる。疲れ果ててすぐ寝てしまうもの、独りごとをいいながらゴロゴロと寝返りを打ちながらななかな寝ないもの、起きて水を飲んだりトイレに行ったりで落ち着かないもの。皆、個性的になってきた。

それぞれが大きくなって一番上の男の子は五年生になり声変りが始まった。背もぐんぐん伸びて、顔にはすこし吹き出物が出ている。電子回路のプログラミングに熱中している。

将来は歌手になりたいと言っている二番目の女児も三年生になって、すっかり大人びてきた。ジジババに似ずとてもきれいな字を書く。昨年度の書写(昔は習字と言ったが)の展覧会に選ばれたのも頷ける。

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(三年生になると毛筆の書写が始まり最初に書いた作品)

早生まれで今年一年生になったいちばんちび坊主はまだまだ幼げで、愛用のタオルを抱いて寝ている。怪獣や恐竜が大好きで、ほっておけばiPadを器用に使いこなしYouTubeで動画を一日中でも観ている。ゴジラからモスラに至り、恐竜を経て、現在は姉とともに蚕や蛾に興味があるようだ。ときどき駄々をこねる姿は見ていて面白い。

先日、長男が来た時に読み終わった椎名誠のエッセイを置いて行った。昔からこの作家の書き物を寝る前によく読んでいる。たわいのない大人たちの焚火旅や冒険譚はまさに入眠剤にうってつけで、大人の童話としてよく読んできた。

置いて行ったなかの一冊に「孫物語」(集英社文庫)があった。読んでみるとまさに孫の話だった。爺バカの孫自慢のような家族の話だ。息子の話を書いた「岳物語」とその続編と同じように、孫たちの逞しく成長する姿を中心とした日常の話が綴ってある。老いてゆく小説家の目を透して、家族とはなにか、生き物の連鎖とはなにかを下敷きした私小説のような、エッセイのような読み物だ。

椎名誠は私より6歳上なので終戦前の年に生まれているが、高度成長期の日本の姿や文化の移ろいを経験していてものの見方に同世代感がある。孫たちのまるで怪獣のような逞しい姿に感動する点も同じ視線を感じる。同様なテーマのエッセイや自らの幼年時代を描いた私小説のもあるようなので、これからしばらく読んでみようと思っている。