めざせ七十七珍、男のコキ料理

f:id:darumammz:20220212152630j:plain

豚肉と浅蜊アレンテージョ

早く寝るので早く目が覚める。暖かい季節には目が覚めれば早々に起きだしてワイヤレスイヤホンを耳に挿し音楽を聴きながらインターネットを見たり本を読んだりしている。バックミュージックはイージーリスニング・ジャズかショパンあるいはモーツァルトが多い。ジャズならウエスモンゴメリー、マル・ウオルドロン、ビル・エバンスあたりがご贔屓だ。MJQも大好きだ。

さすがに寒さの厳しいこの時季は目が覚めてもなかなか布団から出られない。スマートフォンを片手に愚図愚図と夜明けを待って、烏の鳴き声が聞こえる時刻になってから決心して起きる。都都逸の「三千世界の烏を殺し主と朝寝がしてみたい」(高杉晋作の作らしい)というような色気も元気ももうないのが残念だ。

布団の中では、まず今日の予定の確認、続いて昨夜のメールのチェック、最新ニュース、天気予報を見るのが定番の朝の行事である。だいたい30分もあれば終わってしまうので、次は今夜の食事をどうするかの検索になる。

一昨日の未明、カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ(豚肉とアサリのアレンテージョ風)なる舌を噛みそうな名前の料理を見つけた。今まで食べたことがないポルトガル中南部地方アレンテージョの郷土料理だという。豚肉と浅蜊という、想像したこともない意外な食材の組み合わせに寝ぼけ眼が点になる。

調べてゆくといろいろなレシピが出てきた。信州でワイナリーとレストランを営む作家の玉村豊雄氏の記事や旅行記に綴られたポルトガル料理の案内など、簡単なレンジでチンのお手軽レシピから手の込んだ本格的なレシピまで、さまざまなレシピが見つかった。有名な料理のようだ。ポルトガルはスペインに隣接するそれほど豊かとはいえない国だが、海の幸にも山の幸にも恵まれている。大航海時代には七つの海を渡り世界を股にかけて活躍した世界国家だった。よぉ~し、今度はこれを作ろうと決めた。

料理は趣味である。不器用で大雑把な性格なので主婦のかわりに、日常の隅々までを取り仕切る主夫にはなれないが、あれこれ“自分で"食べたいものを気の向いたときに作るのが好きという、まったくのただの趣味である。ボケ防止にもなるだろうと自分では思っている。余談だが、妻に言わせると、家で台所に立つより、ボケ防止なら外の仕事をするのが一番だといわれている。年金暮らしの収入の足しにもなるし・・・、もっともである。なお、今週は週休5日で今日が休みの4日目である(コロナ禍でなければどこかに行きたかった)。

作った料理で気に入ったもの、満足できたものはレシピを記録している。できれば喜寿の祝いまでに七十七品目を達成するのがひそかな目標だ。すでにもう五十品目は越えているので、あとまだ五年以上時間の余裕があるから、きっと到達できるに違いない。生きていればの話ではあるが。

f:id:darumammz:20220212152004j:plain

レシピノート目次

よく料理が好きというと、ご婦人方には決まって険しい目を向けられ、あと片づけはちゃんとしているのか、と、まったく決まり文句のように聞かれる。そこでいつもこう返答している。

「料理のコツを教えてあげよう。・・・それはね、使った食器や道具は直ちに洗って片づけること。それが極意だ。かったぱしから片付けながら料理することが料理がうまくなる最もな近道だ」

だいたいこう言うとあとは知らん顔をされるので重宝してしている。これが極意である。

レシピ集には材料と手順を記録している。一回の調理だけで決まることもあるが、何回やってもうまく出来ないものがある。代表的なものに回鍋肉(ホイコーロー)がある。キャベツのあしらいがうまく出来ない。陳健一さんの本には炒める前に茹でるとあるし、レンジで下処理する方法やそのまま直接炒めてしまうレシピもある。自分としては納得できるレシピは、まだ完成していない(一応、レシピ集には暫定版を記録してある)。よかった点と改良すべき点を書き込めるように、レシピ集は見開き2ページに一品目が収まるように書いている。

コキ(古希)料理が完成したらレシピ集は「男の喜寿料理」と名前を変えたいと思っている。本にして出版できたら面白い。

閑話休題

豚と浅蜊アレンテージョのレシピ(2人前)は以下。

○材料

豚ロース肉200グラム塊(切る前に擂り粉木でよく叩く)、アサリ1パック、赤パプリカ半個、タマネギ1個(粗みじんして茶色くなるまで炒めておく)、ジャガイモ2個(素揚げ)、トマト1個(ざく切り)、青エンドウ豆(戻しておく)、ニンニク1片、香草(パクチー)、1枝、レモン(ゆずでも可)半分、塩小さじ1/2、赤パプリカ粉小さじ1、オリーブ油少々

○手順

豚肉は1口大に切り、摺下ろした赤パプリカとニンニクに塩とパプリカ粉をまぶして半日マリネする。ジャガイモは皮をむいて素揚げする。大きめのフライパンに油を入れマリネした豚肉を炒める。肉の色が変わったら浅蜊と白ワインを入れ蓋をして中火でアサリの口が開くまで蒸す。口が開いたら茶色に炒めておいたタマネギ、トマト、青エンドウ豆、素揚げしたジャガイモを加える。ざっと炒めて汁気が飛んだら塩味を調整して、皿に盛り、パクチーを散らしてレモンを搾ってかける。

以上、手間はかかるが手順は至って簡単である。なお、パクチーはベランダ栽培の自家製だ。身土不二(自給自足の精神)を目指したい。

初めてなのに美味く出来た。自己採点は90点。マイナス10点はジャガイモの量がもっと多くても良かったことと素揚げがやや早かった点だ。ジャガイモはすっかり中まで火が通るように素揚げするほうがよい。白ワインにも赤ワインにも合う絶品である。

追記>使った浅蜊浜名湖産だ。今話題の中国から直輸入の熊本産ではありません。