令和4年7月の思い出_酸ヶ湯・八甲田・北八ヶ岳

もう明日は暦の上では立秋である。

連日の暑さでまったく元気が出なくて、とうとう7月は一日もブログを書く意欲が出ずに過ごしてしまった。

今年の夏は6月下旬にはやばやと梅雨が明けた。記録に残る限りこの100年間でもっとも早く梅雨が明けたあとには強烈な猛暑と梅雨の戻りでしっぺ返しのような豪雨が続き、我が家の定番の朝の散歩道に咲く紫陽花がいち早く枯れてしまった。

行動制限が緩和された7月にはいると、案の定、新型コロナウイルス感染第7波がはじまり、夏休みを控えてこの夏をどう過ごすか、思案に暮れる毎日を過ごした。

烈暑と大雨被害の日々を告げる連日のニュースに一喜一憂していると新型感染症はあらたな株に置き換わり、瞬く間に第6波を凌ぐ勢いで広がり、7月を過ぎて8月に入っても収まる気配がみられない。毎日全国で20万人以上の感染者が出る日が続いている。

広島の原爆の日を迎えた今日は、先週来の日本各地を襲う豪雨の被害がテレビのニュースを賑わせている。ウクライナにおけるロシアによる侵略戦争はまったく先が見えず、加えてあらたな感染症やこれまで経験したことのない温暖化が深刻化して、いったいこれから地球はどうなってしまうのかと心配しているうちにあれよあれよと7月が終わってしまった。今日、残暑見舞いの葉書を何枚か書いて投函した。

蒸し暑い夏の雨と晴れれば目もくらむような暑さを逃れて七月中旬、青森県酸ヶ湯三泊して八甲田登山に出かけた。空路で青森に飛び、初日は酸ヶ湯から八甲田大岳に登った。仙人岱から八甲田大岳に登り、毛無岱に下る定番のコースだった。前日までの雨が一時的にあがり頂上からの眺望を楽しむことができた。下山して酸ヶ湯にチェックインし、白濁の千人風呂で手足の伸ばしているとまた雨になった。この温泉も秋田の乳頭温泉黒湯と同様に身体の芯から疲れが取れる効能があり何度来ても気持ちの良い体験ができる。歩くとギシギシと音がする年季の入った階段を上り湯治部の鄙びた個室にのんびりと温泉三昧で三連泊した。湯治部は料金が安く、朝食は旅館部を同じバイキング形式だが、夕食は品数が減らしてあり高齢者にはちょうどよい量になっている。少し遠いのが難点だが、飛行機を使えば数時間でたどり着ける、定宿したい温泉宿だ。

八甲田大岳山頂

二日目は雨の中、雨具を着込んで奥入瀬渓流を散策した。水量が多く、濁流の流れは謳い文句の清流とはほど遠い勢いの激流になっていた。怒れる龍のようだといわれても仕方がないような流れだった。昼過ぎには酸ヶ湯に戻り近場を散策した。すぐ近くに東北大学の植物園や酸ヶ湯と同系列の八甲田ホテルがあり、せっかくなので瀟洒なホテルを覗きちょっと贅沢にバーラウンジで午後のコーヒーとスイーツと食べた。コーヒーがとてもうまかった。

奥入瀬渓流

奥入瀬渓流の増水
三日目、晴れてくれればまだ行ったことがない南八甲田の峰々を歩いてみかったが叶わず、八甲田山中にいつのまにか出来た城ヶ倉大橋を渡り、弘前に散歩に出かけた。酸ヶ湯温泉からわずか十数分走ると橋の手前からすっかり雨が上がり、津軽平野は晴れていた。酸ヶ湯から弘前まではわずかに40キロメートルあまり。1時間少しで弘前の中心街に着いた。かつて弘前に在住の頃、八甲田への道のりは遠く車で4時間以上かかってたどり着いた記憶がある。調べてみると城ヶ倉大橋は平成7年10月に開通したとあった。これといって予定がないので、かつての中心街下土手町通りの老舗和菓子屋である開運堂でお菓子を買い、はるか昔の記憶を頼りに以前の職場でお世話になった大学の同窓であるO先輩宅を予告もなしに訪問した。

O家で記念撮影

ご夫婦ともご健在でなによりだった。ご内儀に会うのはたぶん45年ぶりだ。当時はまだ新婚ほやほやで長子の妊娠中で悪阻に苦しんでいた時期だったと記憶している。

涼しい酸ヶ湯から帰って数日間は気分転換できて元気も戻ったけれど、その後また四六時中エアコンの中で暮らし、夜中に寝苦しくて目が覚める日が続いて、またげんなりしてしまった。

暑さに耐えかねて、7月29日北八ヶ岳に一泊で出かけ久し振りに北横ヒュッテに泊まってきた。登山というより避暑目的の山小屋訪問だった。

山小屋の主人、ケンさんは白髪まじりになってすっかり貫禄が付いて元気そうだった。コロナ禍で利用者が激減し、小屋の運営は厳しい状況だという。この日の泊まり客も我が夫婦二人だけだった。往時であれば賑やかな小屋もひっそりとしていた。初めてここにお世話になった時の先代主人はケンさんの父親で高齢で引退したが、その後交通事故の大怪我のあと脳出血を患い、認知症がすすんで施設暮らしだと聞いた。

翌日の朝は快晴だった。北横岳の頂上からは槍穂を抱く北アルプス、稜線の繋がる中央アルプスの峰々や御嶽山南八ヶ岳南アルプスの雄姿が一望できた。写真を撮っているとケンさんもカメラを下げて登ってこられた。

看板代わりの懐かしい天狗のモニュメントがある北横ヒュッテ

北横岳頂上の夜明け

北横岳北峰頂上

槍穂が鮮やかな北アルプスの峰々

南八ヶ岳南アルプスの雄姿

登りはロープウェイを利用してしまったので下りは下山道を歩いてくだった。すっかり晴れ上がった森やスキー場脇の山道を下るのは気持ちよかった。運動不足と年のせいでロープウェイ山麓駅に着いたときにはすっかり膝が笑う状態だった。

ロープウェイ山麓駅から北横岳方向を振り返る

ロープウェイ山頂駅に新設されていた展望デッキ

ロープウェイを仰ぎ見ながら下る

アサギマダラ

アザミに止まるヒョウモンチョウ

** 八甲田大岳登頂記録 **

7月14日 羽田発7:50(JAL青森空港着9:05(レンタカー) 酸ヶ湯登山口発10:55 仙人岱12:20 八甲田大岳頂上13:30 大岳鞍部避難小屋14:10 下毛無岱15:05 酸ヶ湯16:15

酸ヶ湯登山口

仙人岱手前の地獄湯の沢登山道

八甲田清水辰五郎

仙人岱

仙人岱ヒュッテ

八甲田大岳山頂

大岳鞍部避難小屋を望む

毛無岱から仰ぐ八甲田大岳(右)

北国の山の花は全体に小柄の印象だった。今年はコバイケイソウシャクナゲの当たり年のようだった。ウサギギクに出会えて感激した。