鹿児島登山旅行

この数年、新年は旅先で迎えている。
今年の暮れは仕事納めが26日(金)と早く年末年始の休みが9日間と長いので、
後半の正月は自宅で過ごすことにして、前半は鹿児島旅行に行くことにした。
一番大きな目的は、霧島山韓国岳)と開聞岳に登ること。
だいぶ距離が離れているので、3泊4日で二つの日本百名山に登り、その間に鹿児島観光をすることにした。
今年は師走の寒波が厳しくて、天気予報では晴天は期待できないが、こればかりは運頼みだ。
27日(土)の始発電車に乗り、羽田から鹿児島へ飛んだ。
飛行機の窓からは富士山が綺麗に見えた。

空港でレンタカー(トヨタヴィッツ)を借りて、一路霧島山系へ向かう。
天気は薄曇りで時々陽射しが見える。
霧島山韓国岳(標高1700m)を最高峰に20余りの山々の総称だ。
今年、新燃岳(しんもえだけ)の噴火があり、12月に入ってからは硫黄山も噴煙を上げたので、登山規制があり縦走はできず、えびな高原から韓国岳へのルートしか登れない。

数日前に降った雪で登山道は氷結していたが、アイゼンを使うほどではなく、

まずますの登山日和になった。
赤松の原生林の中を大浪池(おおなみいけ)まで行き、

そこから長い木の階段を上ると眼下に大きな旧火口湖の大浪池にさざ波が立っているのが見えた。

薄曇りで遠くの景色は霞んでいたが、頂上は陽射しがありそれほど寒くなかった。

(気分爽快、日本百名山79座目、韓国岳登頂)
大きなカルデラのところどころに噴煙が上がる新燃岳の向こうに高千穂峰が見える。

(いつか縦走してみたい高千穂峰の麗姿)
直前の噴火がなければ硫黄山を巡ってえびな高原へのルートを下りたかったが、
入山規制で登った道を下った。
枯れた林のなかに餌を捜す鹿がいた。


(えびな高原から見た韓国岳は平凡な姿だった)
下山後、家内の同級生が働く霧島第一牧場に寄り道して横浜土産の月餅を届け、

(ケンタロウ夫妻との記念撮影、みんないい歳だね)
一日目の宿は、白濁の露天風呂がある国民宿舎霧島新燃荘だ。

この霧島温泉郷の外れにある山中の一軒宿は明治初旬の開湯で、
戦前はハンセン氏病に効果があることで有名な温泉だった。
戦後は2年前に没した故岩元静雄氏と一族が経営する民営国民宿舎となり、
東西温泉番付では西の大関と称される知る人ぞ知る秘湯なのだ。
と、部屋の置いてあった故人の自伝に書いてあった。

夕方から小雨になって、冷雨に濡れながら露天風呂に入る。
露天風呂の写真はうまく撮れなかったので、これは内湯(女湯)。

(最初の一皿は鱒の洗い、淡泊で身が締まっていた)

(ムラサキイモのソースが添えられた天麩羅、妖しい雰囲気だが味は穏やか)

(宿オリジナルの新燃鍋、キノコと豚の味噌味なべ)
お湯は最高、料理も手が込んでいて美味しかった。
二日目の28日(日)の朝は曇り時々小雨の天気。
次に目指す開聞岳へは距離があるので、鳥インフルエンザで少し前にニュースになった
出水市(いずみし)の鶴観察センターに行くことにした。
ここは日本有数(日本一か)の鶴の渡来地で有名だ。

マナズル、ナベズル、クロズル、カナダズルなど、今年の飛来数は14378羽だそうだ。

鶴の鳴き声が凄い。

(喧嘩する鶴)
地元、荘中学校ツルクラブの可愛い娘さんが一生懸命に説明してくれた。
鶴の数はこの中学校のツルクラブのメンバーが数えているそうだ。

(すこし漢字の読みが苦手なボランティアの娘さん)
少し前に百田尚樹の「永遠の0」を読んだので、時間があれば知覧の特攻隊記念館に寄りたかったが、
今夜泊まる指宿温泉の民宿までは意外に遠い。
海沿いの道を走り、知覧の街を横目にみて一路、指宿を目指す。

指宿スカイラインの展望台からは噴煙をあげる桜島が遠くに見えた。
池田湖畔のお土産施設で天然記念物の巨大な大鰻を見物し、

菜の花畑の向こうに見える明日登る予定の開聞岳の写真を撮った。
曇り時々小雨の天気が続き、期待した夕焼けに映える開聞岳には遭遇できなかった。
指宿の街は予想と違って鄙びて静かだ。

民宿「タカヨシ」には日が暮れる前に着いた。

夕食前に近所を散歩し、砂風呂施設は見学だけしてパス。

この温泉民宿も料金は安いのに食事が美味しい。
塩味のする透明な温泉に浸かり、湯あがりに焼酎「利衛門黒」を一合飲んだらすっかり酔ってしまった。
三日目の29日(月)の朝も薄曇り、なんとか雨にはならないで山に登れそうだ。
開聞岳には麓のふれあい公園から登る。

8時40分出発。
予定では2時間あまりで登れるはずだったが、なかなか手ごわい。
円錐状の山を渦巻いて登って行く。
7合目までは常緑樹の原生林の中を登る。

ところどころにある展望台を兼ねた救助用ポイント以外は視界なし。

(海に突き出した長崎鼻が霞んで見えた)
7合目を過ぎると、岩の多い急な登山道となり梯子やロープが続く。

3時間かかって11時45分に頂上(標高924m)にやっと立つ。

狭い頂上は鹿児島鶴丸高校山岳部の元気な若者で溢れていた。
風速は3m程度、360度の視界を期待していたが霞んで遠くは見えない。
残念ながら桜島も見えなかった。
百名山80座目の頂上では、質素にコンビニのおにぎりを食べて下山。
途中で高校生に追い抜かれた。
下りでは日が射して14時に駐車場着。すっかり汗まみれになる。
開聞岳ふれあい公園には野鳥が多く、ジョウビタキが群れていた。

今夜は50キロあまり離れた鹿児島中央駅に近いホテルに泊まる予定なので、
時間があるので名前が面白い鰻温泉に入ってから行くことにした。

途中、日本最南端の駅「西大山駅」に寄り道する。
観光写真で有名な場所らしく観光バスが来ていた。
小さな無人駅だが、日本の端だと思うと感慨深い。左右に裾野を広げる円錐形の開聞岳が美しい。
写真を撮ってから少し行くと本州最南端のセブンイレブンもあったのでここでも記念写真を撮った。

鰻池という名の湖のそばにたつ公営の温泉は、浴場の真ん中に2畳ほどの湯船がある質素な温泉だった。
ここの泉質は鰻にちなんでぬるぬるするのかと思ったが指宿と同じ塩味の透明単純泉だった。

ここは西郷隆盛がめでた鄙の温泉だと書いてあった。
池というには大きすぎる静かな湖には、大鰻の主が生息しているに違いないと思って
名前の由来を入浴券売り場のおばさんに聞いてみたが、そっけない返事しかなかった。
でも鰻の名前があるからにはきっと縁があるに違いない。
宿の東急インには17時半着いた。鹿児島中央駅の目の前のホテルだった。
夕食はぶらぶら歩くつもりだったがすぐ傍に鹿児島郷土料理「吾愛人(わかな)」という、なんとなく意味深な名前の看板の出ている店に入ってみた。
入ると綺麗な高級そうな店だった。
2泊目までに黒豚の煮物やキビナゴの刺身と煮ものなどを食べてしまったので
他の物が食べたくて入ったが、ここも大あたりだった。

(すこし食べてしまってから写真を撮ったので乱れているが美味い)
味噌味のおでんが美味い。薩摩地鶏の焼き鳥も美味。
三種類の芋焼酎を賞味して出来あがり、夜の天文館観光はなしで
筋肉痛の脚を引きずってホテルに帰り爆睡した。
おかげで4日目の朝は4時に目が覚めた。
鹿児島は大都会だ、朝が早い。
街中をレトロな路面電車がひっきりなしに走る。

モダンな新型電車も走っていた。

朝食バイキングで奄美鶏飯を食べた。鶏出汁のスープをかけて食べる。これも美味い。
食事のあと時間が少しあったので、路面電車に乗ってみた。
朝日を浴びた桜島が撮れないかと思って城山公園に行ってみた。

ここの西郷どんは上野と違ってきちっと軍服を着ている。

展望台からは登ったばかりの朝日を映して海面が光って綺麗だったが、ここでも残念ながら、桜島は霞んでいた。
このあとホテルに戻り、昼前の飛行機で帰ってきた。
今回は鹿児島県と宮崎県を股にかけて400キロ走り廻った。
帰宅後、家内は年越しの準備ですぐ買い物に出かけた。すごい。まったく元気で驚く。
これで今年の年末旅行が終わった。