西日本では例年になく早々と梅雨入りしたのに
関東ではさっぱり入梅の知らせが届かない。
とはいえこの季節がら毎日不安定な天候の繰り返しで
つかの間の蒸し暑い晴れ間が見えたあとには霧雨や風が吹く日が続いている。
山々の木々や草花はどうなっているのだろう。
今頃の尾瀬は新緑に覆われて美しい季節になっているはずだ。
下界は早々と春が終わってしまったから
例年であれば今が見頃のはずの湿原の水芭蕉ももう盛りをすぎてしまったのだろうか。あるいはいつものようにまだ純白の袍が湿原を埋め尽くしているのだろうか。
尾瀬にはこれまで30回以上訪れている。
いわば春秋の年中行事のように新緑や紅葉に被われた広大な湿原を歩いてきた。
昨年は7月の初旬に尾瀬ヶ原散策に出かけた。
アヤメやニッコウキスゲは見事だった。
コロナウイルス感染の蔓延による長引く緊急事態宣言で東京オリンピックの開催も危ぶまれている(普通であれば開催されないなずだ、というのは良識だろう)。
閉塞感の続くなかで、先週半ばに天気予報をみると週末の尾瀬ヶ原は曇り時々晴れの予報だった。
このところすっかりご無沙汰になってしまったカンくん一家に連絡を入れて、運動不足解消に、早起きして尾瀬ヶ原に日帰り散策に出かけるのはどうかと誘ってみた。
中学校に進学してから電車通学で帰宅が遅くなり、連日忙しくて腹ぺこでくたくたになって帰ってくるカンくんのようだが、日帰りならばと一緒にゆくことになった。
おにぎりと雨具だけを持って自宅を3時15分に出発。
広々とした尾瀬ヶ原はいつものトップシーズンとはまったく違ってひとがまばら。
木道を歩く長い行列もない。これなら三密を気にして都会にいるよりずっと安全だろう。
天気予報がはずれ、朝からすっきりと青空が広がった。
鳩待峠から山の鼻にくだり、湿原の木道を牛首を経て竜宮小屋まで歩き小休止。
水芭蕉はもう葉が大きく茂り、鮮やかな黄色の花を付けるリュウキンカも盛りを過ぎていた。木道の周囲にはタテヤマリンドウやショウジョウバカマ、チングルマ、ワタスゲなどの夏の花が咲いて、短い湿原の春はもう終わりに近づき、夏を迎える準備が始まっていた。
日が高くなるにつれ、真っ直ぐに降り注ぐ紫外線が肌に痛い。
竜宮からはヨッピ橋を渡り東電小屋まで行き、小屋の前でお湯を沸かしカップ麺を食べた。山のなかでカップ麺を食べたのは生まれて初めてだ。
帰りはまたヨッピ橋に戻り牛首を経て山の鼻がゴール。花豆ソフトクリームで火照った体を冷やす。
15時のバスに乗って戸倉の駐車場に戻り、20時に帰宅した。
久し振りに開放感を味わって生き返った気がする。